自然塗料(和紙・木材・衣類用)用 途塗料としては、防虫防腐性能の故に、桶や樽、家の柱や板壁等に塗装されたり、衣類を染める着色剤として、あるいは、タンニンの反応による強化作用の故に、和紙に塗って番傘(渋紙)にしたり、漁網の網の強化、酒袋や醤油袋など、様々な使われ方が考案されました。 効 能抗菌、防腐、防水、防虫、防カビ、補強など |
塗 装 例
柿渋をそのまま、若しくは水で希釈したものを塗り重ねします。
耐水性はすぐには出ないので、乾燥してから塗り重ねする方が濃く染まります。
柿渋は、太陽の光(紫外線など)が当たると、当初は、色が濃くなってゆきますが、ある一定以上照射を続けると、逆に色が抜けてきますので、ご留意下さい。
(柿渋は天然ハーブの一種ですので、耐光性は余り良くありません)
天然染料・エコ染料としての柿渋の染色方法
① 染める物 | 綿・麻などの天然繊維が適しています。蛍光晒し、樹脂加工等の施してある物は不向きです。又糊は落としてください。浸透性を良くし、均一性が良くなりますので、生地は湿った状態にして下さい。 |
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② 容器 | ポリ容器が適します。先に述べたように、柿渋は鉄に反応しますので、鉄製品は避けて下さい。容器は使用後直に水洗いすれば簡単におちます。ムラ無く染めたい方は、水で2~3倍に薄め、染色回数も増やして下さい。 |
③ 塗布する | 柿渋を刷毛で塗って下さい。刷毛の描き方や重ね染で、色々な柄染も出来ます。予めビニールシートなどを下に敷いてから行なってください。 |
④ 日に当てて干す | 柿渋は日に当てれば当てるほど色が色が出ますが、濡れた状態では斑になりやすいので、始めは陰干しをお勧めします。 又、ピンと張った状態で干して下さい。その時に、洗濯ハサミの跡がつかない様に注意して下さい。染める回数を重ねるごとに色は濃くなります。 |
⑤ 水洗いする | 水洗いすることにより柿渋の発色をうながしますし、風合いも柔らかくなりますので、できるだけ水洗いを行なって下さい。 |
⑥ 媒染する | 基本的には柿渋染は媒染材を必用としませんが、色の変化等の目的で使用されます。 |
① 染める物 | 浸し染は染色後の脱水、乾燥に手間が掛かります。厚地の生地や長い生地を染色する場合には染めムラが出来やすいので、なれるまでは、出来るだけ薄地の、小さい生地で練習してください。 |
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② 柿渋液を容器に移す | ― |
③ 染色する | 斑無く染色したい方は柿渋液を水で2~3倍に薄めてご使用ください。水で薄めると一回あたりの発色は薄くなりますので、その分染色回数を増やしてください。 又、染色回数で好みの色にして下さい。 |
④ 日に当てて干す | 絞った跡がシワになりやすいので、十分にしわを伸ばして干して下さい。又ピンと張って下さい。 弛みが斑になりますので、十分な注意が必要です。逆に、素人の方には、斑染、シワ染をお勧めします。 |
⑤ 水洗いする | ― |
非エンベロープウイルスに対する柿渋の抗ウイルス作用
目 的 |
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エンベロープを持たない非エンベロープウイルス(naked virus) は、エンベロープウイルスに比べて消毒剤に抵抗性が高く、使用できる薬剤が限られる。本実験では、非エンベロープウイルスに対する抗ウイルス剤の開発を目指して、カテキン類がウイルス感染性に与える影響を検討した。 |
方 法 |
披検ウイルスとして、コクサッキーウイルス、アデノウイルス、ネコカリシウイルス、ロタウイルスを用いた。試薬として、基材 (50% エタノール、クエン酸、クエン酸ナトリウム等 ) に、柿渋等をそれぞれ 1% 添加したものを用いた。 試験方法としては、ウイルス液と試薬を等量混和して室温で 3 分間置き、細胞培養液 DMEM で稀釈して TCID50 法での感染価測定を行った。アデノウイルス、ロタウイルスについては、稀釈・感染後、特異抗体を用いた蛍光染色を行い、感染フォーカスを数えて感染価を算出した。 |
柿抽出物/対照物 | エタノール | クエン酸 | クエン酸三ナトリウム | グリセリンモノカプレート *4 | ||
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HA-72A | 柿渋FD末 | 0.3% | 50% | 1.6% | 0.5% | 0.5% |
HA-201 | 柿渋FD末 | 1% | 50% | ― | ― | ― |
HA-16 | ペンタガロイルグルコース | 1% | 50% | 1.6% | 0.5% | 0.5% |
HA-17 | ワットルタンニン *1 | 1% | 50% | 1.6% | 0.5% | 0.5% |
HA-18 | コーヒータンニン *2 | 1% | 50% | 1.6% | 0.5% | 0.5% |
HA-19 | プロピルガレート | 1% | 50% | 1.6% | 0.5% | 0.5% |
HA-20 | 緑茶タンニン *3 | 1% | 50% | 1.6% | 0.5% | 0.5% |
HA-21 | ピロガロール | 1% | 50% | 1.6% | 0.5% | 0.5% |
HA-202 | ― | ― | 50% | 1.6% | 0.5% | 0.3% |
非エンベロープ一本鎖 RNA ウイルス ( B 群 5 型 ) FL細胞 |
非エンベロープ二本鎖 DNA ウイルス (βーgal 発現非増殖性ウイルス ) FL細胞 |
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非エンベロープ一本鎖 RNA ウイルス ( F9 株 ) CRFK 細胞 |
非エンベロープ二本鎖 RNA ウイルス ( Wa 株 ) MA104 細胞 |
薬剤 | pH | コクサッキーウイルス | アデノウイルス | ネコカリシウイルス | ロタウイルス |
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HA-202 基材 | 4.00 | ✕ | ✕ | ◯ | ◯ |
50% ethanol | 5.09 | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ |
HA-72A 柿渋 FD 末 |
4.05 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
HA-201 柿渋 FD 末 |
5.41 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
HA-16 ペンタガロ イルグルコース |
4.20 | ✕ | ✕ | ✕ | ◯ |
HA-17 ワットルタンニン |
✕ | ◯ | ✕ | ◯ | |
HA-18 コーヒータンニン |
✕ | ✕ | ✕ | ◯ | |
HA-19 プロピルガレート |
✕ | ✕ | ◯ | ◯ | |
HA-20 緑茶タンニン |
✕ | ◯ | ◯ | ◯ | |
HA-21 ピロガロール |
✕ | ✕ | ◯ | ◯ |
◯:抗ウイルス効果あり ✕:抗ウイルス効果なし
結 果 |
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コクサッキーウイルスに対しては、柿渋が感染性を大きく低下させ (1/104>)、著しい効果が見られた。一方、他の試薬では効果を認めなかった。アデノウイルスに対しては、柿渋、ワットルタンニン、緑茶タンニンが感染性を低下させた (1/105>)。また、ネコカリシウイルスに対しては、柿渋、プロピルガレート、緑茶タンニン、ピロガロールに 200 倍以上の強い抑制効果があった。さらにロタウイルスには共通して入っているクエン酸塩等に効果があると推測された。今回用いた非エンベロープウイルスに共通して、柿渋が強い抑制効果を示した。 |
考 察 |
本試験に用いた薬品には、タンニンが含まれている。タンニンは、分子内に多くのフェノール性水酸基を含むポリフェノールであり、蛋白質などの塩基性官能基に結合して凝集させる性質をもつ。そのため、本試験では、薬剤によって差はあるものの、ウイルス蛋白質と結合し、あるいは凝集させ、ウイルスの感染価を低下させたと考えられる。 本試験で用いたカテキン類の中で、柿渋が最も広い範囲で非エンベロープウイルスに有効であり、抗ウイルス剤成分として有望である。 |
ここに記載している商品はほんの一部です。
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